お布施体験談  43歳主婦  

 父が67歳という若さで亡くなりましたので、お寺に行きいろいろ打ち合わせを致しました。
打ち合わせの最後にご住職様に戒名を付けていただくのにお布施はいかほどお包みいたしましたらよろしいでしょうかとお尋ねいたしましたところ、「それは気持ちで結構です。」と言われました。わたくしは数十万円ということは薄々存じておりましたけれども、もう少しはっきりしたことがわかりませんとお包みのしようがございませんので、二度三度と重ねてお尋ね致しましたところ、「院号はいかがされますか。」といわれましたので母と妹とわたくしで相談したとおり「院号はいりません。」とお答えすると、「そうですか、では30万円ほどでいかがでしょう。」とやっと金額をおっしゃって下さいました。

 翌日、叔父が来て「なぜ兄貴に院号付きの戒名をつけないのだ。会社社長として社会的にも認められた兄貴だよ。」ときつく諭されました。しかたなく院号付き戒名を命名していただきましてたが、お布施は90万円になりました。
 父は会社社長とはいえ、ここ数年体調を崩し景気も悪く、一時の勢いはなく経営は火の車でございましたので90万円という金額はつろうございました。
 お布施以外に多々お金が出ましたが最も大変なのはお墓を作りです。墓地は父が生前に100万円で買ってございましたので大変助かりましたが、小さなお墓なのですがそれでもお墓を建てるには350万円もかかってしまいました。

 告別式が済み初七日も済ませ、49日が終わったところで費用の精算を致しましたところ、戒名のお布施や告別式やその他のお布施で合計150万円ほどご住職様にお支払い致しました。締めて600万円ほどの持ち出しとなりました。しかし思いも懸けず御香典をたくさんいただいたものですから告別式の費用をこれで間に合わせることができました。300人を越える会葬者の皆様に衷心から感謝致しております。もし100人程度であったらどうなってしまったかしら。
 また、院号が付いたため今後は毎年の年数回の檀家としてのお布施も高額になるそうでございます。

 父の死後、母も病に倒れ5年間の闘病生活の末亡くなってしまったのでございます。今度は初めから院号付きの戒名をお願いいたしました。ご住職様は母は女であるのでは院号なしの戒名を予想していたのでしょうか、院号付きとお聞きになったときかすかに微笑まれたようにわたくしには思われました。
 念のため「お布施のことですが・・・」とお尋ねいたしましたところ、今回はプラスチック製の紙ケ−スに入ったお布施表をお出しになりました。それには院号付き90万円、院号なし○○十万円、告別式○○万円、初七日○万円・・・と紙一面にかかれておりました。父の時との違いに驚き、先ほどの微笑みとお布施表を思うとき、どうかしますと商人のようであまり良い気持ちではございませんでした。



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